2015年2月26日木曜日

象の腹ゴロ

 先日、サーカスと象の講座を聞きに行った。
そのとき私は、いろんなことで少し気持ちが疲れていて、こんなときは象のことでも考えてみてはどうだろうか。と、思い立って王子まで出かけたのだ。
 でかけたことはとても良かった。講師の大島幹雄さんは、しきりと「象はすごいんだ、象はすごいんだ」と言っていた。いろいろすごいところはあるようだけど、そのひとつにコミュニケーション能力のすごさがあるらしい。なにやら(わたしの適当聞きかじりでいえば)お腹の中をごろごろいわせる音で、遠くの仲間と通信できるとか。ええ!すごい。このことはもっと知りたいと思ったけど、妄想のために調べるのはひかえておこうと思う。この「象の腹ゴロ」はひと同士にもあるはずだ。自分でも経験があるけれど、友達のなかでも、虫の知らせ的なものを受け取るひとって決まっている。他にも、何年も前に、「一緒に仕事しましょう」と言い合いながらも、こちらがやる気のときはあちらがそうでもなくて、あちらがやる気のときは、こちらの腰がひけていたり。なんだか、うまくいかない恋愛関係のようなことが続いて、それでも「あの話はいずれかたちになるだろう」と、妙な確信があったりするのは、互いに知らず知らずに「腹ゴロ」を交わし合って暖めているからじゃないかと思う。
 そんな奇妙な通信を交わしているひとは何人かいるように思う。妄想でしょ。といわれたらそれまでだけど。

 内輪の読書会があって、ジュニパ・ラヒリの『低地』を読まねばならなくて図書館に行ったら33人待ちで挫折。なんとなく背表紙を眺めていたら『象』の文字。村上春樹訳はあまりすきじゃないけど、借りてみる。デュラスの『廊下で座っているおとこ』というタイトルをすごくいいとおもって手に取った。デュラスは好き。物語に射す光にとろみがあるようで。



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