すごい小説です。多和田葉子さんの『献灯使』。ひとによっては、しんどい、とおもうこともあるかもしれない、というところも含め(だいたい多和田さんの世界ってそんなかんじがありますが.......)、まるで美しい毒のような物語です。でも、多和田さんは、ほんとうにやさしいピュアな方です。おおげさではなく、表現者として人類のことを憂いているんだと思います。どんな物語にも、底に流れているやさしさがあることが、読み終わったあとにしっかりと残ります。絶望のなかから紡ぎだす光。必ず次の地平線が見えるところまで、また歩きたくなる。そういう強い物語です。
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