2020年7月22日水曜日

美しい名前

仕事場には、資料が散乱しているのですが、たっくさんの資料があっても、実際の作品のなかにその影響が現れるのは、料理におけるコショウほどの分量。
でも、コショウやら、スパイス大事です。

山水画について確認したかったので、雪舟展の図録をひっぱりだしてみました。
神保町の古本屋で500円で買ったもの。
丁度雪舟に魅了されていた時で、まるでふっと本棚に現れたみたいでした。

東博でやっていた雪舟展は行ってないのです。 そのころ、あんまり興味がなかったので。恐れ多いことですが、雪舟は なんだかまとまりすぎていて、つまらないなあ。と思っていたのです。

けれど、ある本がきっかけで、雪舟を観るようになり、 山水長巻、天橋立図にあらためて魅了されました。
とくに天橋立図は、いわゆるスケッチなので、なんというのか生々しさというか、風景、自然に対する想いがそのまま画面にあふれていると感じます。
そういう感情を詩にできるひと、 絵にできるひと、それをうけとることができるひと。

雪舟の絵には慈愛のようなものがあります。

それは、周文や夏珪などの山水画のマエストロと比べるとわかります。
技術の高さとともにその崇高さが目立つそれらにくらべて、
雪舟は、よりもの静かです。
その静けさが、絵を見ているものの心の静けさへ呼応し、引き起こされます。
静けさが引き起こされるという言い方はおかしいかもしれませんが...。
本当にそういう感じです。心のなかの一番静かな場所を探り当てられてしまうというような。

だから心地いいのかもしれません。

なにより、名前が美しい。
雪の舟
とは。







0 件のコメント:

コメントを投稿